最近は生鮮食品を扱うスーパーマーケット併設型ドラッグストアや、コンビニ並の品揃えのドラッグストアなど多く見られる。
薬販売や調剤薬局だけでは市場内競合激化により採算が見合わない状況を打破するため、食品や嗜好品、アルコールなども商品として揃え、お客様の多様な利便性に答える業態へ変化している途上である。
これからはクリニックモールとの併設で、よりお客様の囲い込みを狙っての出店攻勢が今後も続いていくことと予測されます。
他業態の領域を取り込むのも成長の一つだが、この時こそ『リ・ブランディング』の時ではないかと考えれば、さらに独自の成長を遂げることが可能なのではないかと思う。
薬局という許認可ビジネスそのものが他業種の参入により、その優位性が根底から覆されるかもしれないという現在、未来における、その『あるべき姿』について考察を加えることは非常に重要と思われる。
今のままのドラックストアMDでは、非常に厳しい競合関係の中で疲弊し、生産性のない戦いに明け暮れるかもしれません。今のブランドを再構築することはその競合から抜け出し、新しい顧客を獲得し、新しい市場を生み出していく『原動力』 になります。
新しくブランディングを考えること、自社の強み = ケイパビリティ(能力、可能性)を再発見し『MD = 商品政策』『運営サービス』『SI = 店舗デザイン』の定説を覆して、新しく、価値あるものに変革していくパラダイムシフトが今、必要なのではないでしょうか?
これからのドラッグストアがリ・ブランドしていくのは『健康と美のセレクトショップ』であり、近隣住民の生活の質と命を守る拠点創造にある。
従来のMDゾーン、一般医薬品、化粧品、雑貨日用品、食品などのベーシックな商品構成エリアも刷新し、デザインにもこだわったセレクトショップのブランディングを目指し、ウェルネスのパークを目指す。
また、競合するであろうコンビニ、ホームセンターとは違う道を歩むことによって、お客様の支持を得られると思われる。
『健康と美のセレクトショップ』とは、様々なサービスとコンサルティングを用意し、その地域ごとの情報受発信拠点を創造していくことにあります。
高齢化社会においてそのニーズは高まり、自分の健康を維持するためには病院はもちろんのこと、近隣のドラッグストアによって、予防医学的見地からの日々の生活のアドバイスや、コンサルティングをより自然に受けることのできる商空間を創造しなければならない。
病気になってから体や命を気遣うのではなく、病気になる前の予防を、いかに円滑にコミュニケーションできるかが今後の鍵である。
私たち設計・デザインの視点から、ドラッグストアの未来について提言していきたいと思います。
商品価格の安さではなく、提供するサービスの質の高さがファンを構築していけるような、『新しいドラッグストア』を創造し、お客様に喜んでいただけるような企画設計・デザインをしていきたいと思っています。
今後の社会変化は想像を超えるような変化が待っているに違いない。
AIの進化、チャットGPTの社会進出、超高齢化社会、インフレや不況、そんな中でも人々の関心は『健康』。 リアルな場面でしか対応できない肉体の問題は、永遠に重要な課題であり、この課題に向き合う新しい業態が次代を制していくのではないか、と予兆を感じるこの頃です。