噂が先行する新業態eスポーツですが「予想もつなかい組み合わせ」でそのポテンシャルが劇的に発揮できるコトがあります。
月刊レジャー産業10月号の記事を転載させていただきました。
ゲーミングフロアはホテル共用部として設計
今年8月8日、大阪市浪速区にeスポーツとカプセルホテルを複合した「esports hotel e-ZONe~電脳空間~」がオープンした。
eスポーツ競技に採用されるPCオンラインゲームが快適に楽しめるハイスペックPCを配した国内初の施設である。土地価格を含まない事業費は約5憶円。
同施設は地下1階地上8階建てで、地上1−3階にハイスペックPC(72台)を配した 「ゲーミングフロア(バトルフィールド)」を設け、4−8階に宿泊フロア、地下1階に男性用シャワーブース(8ブース)を配している。
ゲーミングフロアはホテルの共用部としており、ホテル宿泊者は自由にPCを使用できるプランもある。デイユースにも対応しており、基本料金は1時間250円、ベッドの利用には1000円の追加料金がかかる。
利用は前払いのチャージ制で、初回利用時にアカウント登録をし、利用時間をチャージする。利用可能時間が残っていれば繰り越し利用できる。
〜宿泊フロア〜
宿泊フロアは4−6階が男性専用カプセルフロア(78ベッド)、7階は個室フロア(3室)、8階が女性専用カプセルフロア(9ベッド)。個室には宿泊定員分のハイスペックPCが設置されており、4人部屋が1室、2人部屋が2室ある。
8階の女性専用フロアにはカプセルベッド以外にシャワーブースやトイレなど水回りも配されている。
〜地域特性〜
同区日本橋に立地し、地下鉄堺筋線恵美須町駅、御堂筋線および南海本線なんば駅、近鉄大阪線日本橋駅の4駅から、いずれも徒歩約10分以内。4駅に囲まれたなんばエリアは東京・秋葉原と並ぶ「オタクの聖地」と呼ばれるポップカルチャーが盛んな土地柄である。
電気店が並ぶ「でんでんタウン」やアニメやマンガ、ゲームの専門店が立ち並ぶ「オタロード」などサブカル系ショップが多く軒を連ねている。
立地特性と親和性の高く、急成長を続けるeスポーツを宿泊施設のコンテンツとして採用した。
eスポーツとホテルの相性が独自調査で明らかに
事業主体の(株)S&Tホールディングスは、戸建住宅・宅地開発を中心に展開してきたサンユーグループの企業。2015年にホテル事業に進出し、これまでにカプセルホテル「HotelCargo」(大阪・心斎橋)、アパートメントホテル「組子」(京都・下京区)など直営2施設を含む9施設の開発実績を有する。
e-ZONeの敷地面積は133m²と狭小地であったことから、当初、カプセルホテルとして開発が検討されていた。
一方で、大阪・日本橋エリアはホステルやゲストハウス、カプセルホテルが乱立するホテル激戦区であったことから、他施設との差別化が課題となっていた。
「競合過多の状態だったためオーソドックスな宿泊施設をつくっても、価格競争に巻き込まれる可能性が高い。施設の差別化と既存の宿泊施設にはない付加価値をつけるため、ポップカルチャーと親和性のある最先端のコンテンツを採り入れた」(サンユーグループ代表松永泰成氏)と説明する。
eスポーツ以外にもさまざまなアイデアがあったというが、同社の独自調査の結果、「eスポーツ」と「宿泊」は親和性が高いことがわかったという。eスポーツのプレイヤーは練習や実践の場所を探しており、自分より上級者との対戦によって腕を磨いたり、オフラインでのコミュニケーションを求める。
また「終電などの時間を気にせず楽しみたい」という欲求があることも明らかになった。
実際、宿泊施設にeスポーツを採り入れたことで、他施設にはない差別化アイテムとなっている。また視点を変えれば、eスポーツ施設に宿泊機能をもたせることによって、プレイヤーの潜在需要の取込みも期待できる。宿泊とeスポーツ、両方の面から相乗効果の高い組合せといえるだろう。
多数のイベント開催で地域に根ざした施設目指す
事業計画段階では宿泊売上げだけでも収支が合うように設計し、デイユースによるアッ プサイドを見込んでいた。
計画段階の宿泊基本料金は
・男性用「スタンダードキャビン」1泊5500円〜
・男性用と女性用「プレミアムキャビン」1泊7000円〜
・ツインルー ム1泊1万2000円〜
・4人部屋1泊1万3000円〜
を想定していた。
一般的なカプセルホテルの単価は2000円〜4500円といわれているが、ハイスペックPCが使い放題という付加価値からカプセルホテルとしては高価格帯の設定としていた。
しかし、新型コロナウイルス感染拡大でオープンが延期されたことに加え、外出自粛などの影響で厳しいスタートとなった。
現状はイベントを数多く開催し、認知度を高める活動を進めている。ハイスペックPCを備え、配信環境も整っているスペースはほかには少なく、eスポーツ関連イベントの会場としての需要は高い。
8月は週末を中心に12回、9月は14回イベントを開催している。e-ZONeが主催するイベントもあるが、個人や法人が会場として利用するケースも多い。
「地域には各タイトルのコミュニティリーダーがいます。イベントをとおしてコミュニティが集まる場として定着させ、新型コロナが落ち着いた後も、定期的に施設を利用してもらう土壌づくりをしています」(松永氏)とする。
現在の参加者は「大阪近郊からが多く、宿泊者は少ない」というが、将来的にはオールナイトイベントなども開催し、宿泊需要の取込みを目指す。
また、地域の学校との連携も進めている。「eスポーツを一過性のブームではなく、地域に根づかせるにはジュニア世代の参加が不可欠。そのためには親の理解が欠かせません。地域の学校に授業の一環として施設を利用してもらうなど連携を進めることで、親の理解を促し、子どもが安心して利用できる施設という認識を広げたい」(松永氏)。
10月10日には大阪市生野区主催で小学生向けのeスポーツイベントが開催される予定である。よりイベントを開催しやすくするため、今後はゲーミングフロアの一部をイベントスペースに改修することも検討している。
どの業界もコロナの強い影響がでていますがZ世代やそれ以降の人々には欠かせないエンタメコンテンツのeスポーツです。
必然的にeスポーツ市場人口は増加しかありません。
今、新型コロナで停滞していますが、近い将来、華々しく飛躍していくことは間違いなしです。