庶民の時代。
戦後の歴史とともに雑多な集積は昭和の力を呼び起こす!
いまとなっては新感覚のSC。
マーケティングでは計算できないところが魅力的に映るのだろう!
商業のプロが手がけてるとは思えない『素人』感覚が面白い!
コロナ前にはなるが、渋谷パルコリニューアルの際にB1Fのカオスキッチンがリリース、おしゃれな横丁感覚、サイバーな、無国籍デザインでオープンした。
それとは全く真逆の、飾り気のないテナントミックスと雰囲気は、魅力的に映る。
それもそのはず、まず発祥が違う。
元々、戦後有楽町界隈は進駐軍の関係施設が多くあった。
その関係で、米兵やその関係する日本人が多く、そういった人々目当てに飲食店や物販、靴磨きや風俗など、あらゆる業態が集積して、代名詞『すし屋横丁』として発展していった場所だ。
まさに庶民の王様といった感じだろう。
その中で、一番先に近代化を果たしたのが交通会館だった。
上層階の回る展望レストランは当時は画期的だった。
1965年当時なので、約60年前。
そんな昭和を代表する地下の商業ゾーンが、時代を一回りして
今、面白くなっている。
喫茶店、居酒屋、とんかつ屋、うどん屋、沖縄料理屋などの飲食店、
韓国雑貨、ギャラリー、すっぽん強壮、クリニック、化粧品、マッサージ、酒屋などなど
まるでカオス。
レトロと言われているが開店当初からのデザイン。当時はモダンでカッコ良かったはず。
こんなところに『水タバコ = シーシャ』専門店。しかも珈琲豆も売っている。
このインパクト。考えられない宝探し感!
沖縄そば専門店と健康志向雑穀おにぎり専門店。
この組み合わせはコンセプト不要!
仙台の牛タン専門店『太助』は本店と変わらぬ味。
奥には広いスペースで展開する徳田商店、まるで屋外感覚。
全体が横丁と思っていたら、なんと横丁エリアが存在した。
その中にはカラオケ居酒屋もあったりして。
この『宝探し感』と『個人的趣味の世界観』の集積が人々を魅了するのだろうと思った。
大手のデベロッパーがやろうとしても出来ないだろうと思わせる、経年蓄積の力。
これから衰退していく日本の激しい格差社会における、商業集積の予兆を見たような気がした。
1億総中流時代が終わりを告げているようだ。