コロナ後のインバウンド加熱と商業施設の変化
コロナも終息し記録的な円高でインバウンドも加熱、オーバーツーリズムなど話題になっている状況。
麻布台ヒルズも満を持してのオープンとなった割には大きなうねりのような熱が感じられないこの頃ですが皆さんもいかが感じてらっしゃいますか?
どこのビルもどこのお店もそつなく仕上がっているように思います。
私たちは商業施設を中心にビル、店舗を作ってまいりました。
モットーは『その業態が狙うターゲットに刺さり、商品やメニューが売れて、結果、事業として利益が上がる』このデザイン理念で1980年代から2010年代を駆け抜けてまいりました。
つまり私たちのデザインは作品ではなく、商業の場を活性化する手法であり結果商品がよく売れることが最大の目的で、デザイン性がいい悪いとは違う世界で生きてきました。
しかしこの10年で、販売チャネルや人々の嗜好性や感度が劇的に変化し、店舗に行かなくてもネットでボタンを押すと商品が瞬く間に届く、リアル店舗でのサイズがない、在庫がない、お取り寄せなどのストレスがなく買い物ができるようになった、と思っているのは老若男女が感じてることだと思います。
また、飲食などの商業空間ではほとんどネイキッドな、デザインしていないデザインが環境にも配慮していると支持を得たりしています。
また一方では、刺激的な空間デザインに溢れるハイエンドホテルのレストランなどが見られます。
まさしく、トレンド崩壊の時代と言えるぐらい多様化しているのが今なのではないでしょうか。
大量生産大量消費は完全に終わり、大きな渦のようなトレンドもなくなり、極めてパーソナルな価値観や哲学でモノを選び食べ物を買い、遊ぶ。
このような時代背景の中、モノを売る空間デザインはどうなっていくのであろうか。
ブランディングという旗印に集う意味はあるのか?
ただひたすらそつがないデザインで溢れかえる今。
かつてファッションやデザインは反体制としてのパンク精神から誕生したものが多かったが今は違うようである。
デザインの魂はどこへいくのか気になるところである。
『SAMPO DE ルンルン』東京オデッセイのVRお散歩シミュレーターと未来のデジタルツイン公園
一方、VRやメタバースの世界に目を向けると、新たな世界が誕生しつつあるのが感じられる。
まさにもう一つの社会、いや、さまざまな社会が誕生してくるに違いない。
東京オデッセイが2024年にリリースするVRお散歩シミュレーター『SAMPO DE ルンルン』がある。
これは世界中の公園のデジタルツインを製作し、世界中の人々が自由に世界中の公園を散歩できるというものである。AI音声翻訳で外国人とも違和感なくコミュニケーションができ、部屋にいながら散歩を通して世界中に友達ができ健康になるというシロモノです。
ゴーグルをかけ専用の椅子に座るだけで世界中に行くことができるシミュレーターを開発しています。
これは高齢者から子供達まで楽しめるエンタメも組み込んでいます。
デジタルツインにすればその公園の季節を変えたり昼夜の演出やさまざまな環境演出が可能になり、あたかも劇場のように公園全体を演出することが可能になるのです。
未来の商業施設:デジタルツインとリアル世界の融合
今はここまでですが、このVRワールドの中で実社会と同じように『デジタルツイン化』が行われ、あたかもショップに来ているかのように買い物ができたり、映画が見れたり、ライブを楽しんだり、レストランで食事ができたり、そこにくる人々のために広告や販促イベントが行われたり
本当にもう一つの街になる日もそう遠くないと思います。
このデジタルツインがリアルの世界と繋がると、その威力はすごいことになるだろうと予測しています。
つまりこれから商業ビルやショップなどをリアルに建設していくと同時に全く同じ世界をデジタル空間にメタバースとして作り、ネットからのお客様とリアルなお客様と両方楽しめる場所を提供することが新しい時代の商業施設のあり方になる日も近いと思っています。
リアルでの不便さ
——並ばないと買えないとかサイズがなかったとか、ライブのチケットが手に入らないとかさまざま——
そういった課題解決をデジタルが担って、さらにデジタルならではの楽しさや利便性を提供することが、未来の商業空間として必須になってくるのではないかと思っています。
未来の設計:デジタルツイン空間でのスペクタクルな空間デザイン
私たち設計デザイン会社が、なぜメタバースやVRを積極的に実践している意味がここにあるわけですが、
当然デジタルツインの世界でのアーキテクトや、空間デザインは必要となるので、
まだ誰も見たことのないような壮大で、印象的な光景『スペクタクル=spectacle』を
私たちが提供していくというぐらいの気構えで、取り組んでいます。
2024年以降の商業空間の流れは、リアル / バーチャルの積極的融合
リアル空間デザインと、デジタルツイン空間デザインのFUSION化がキーファクターになるのは、間違いないと思われます。
そしてそのことこそがリアルに人を集客できる力を与え、さらに胸に刺さるデジタルツイン空間デザインが、VRメタバースにも人を呼ぶ。
そして本当の意味で国境が消えていくような体験が、いたるところで現象化していくだろうと思います。
私たちはその世界に少しでも役立てるようリアルバーチャル、VRメタバースを行き来できるクリエーターでありたいと思う年の瀬であります。