昨今の株価上昇にともなう不動産市場の活性を受け、
ホテル開発も目白押しである。
インバウンド需要は今後見込めるものの、
こんなに多くのホテルやホステル、あるいは民泊など、
林立して大丈夫か、と危ぶむ声も少なくない。
2020年東京オリンピック以降の日本は
あらゆる意味で変革の時代を迎えるのは間違いない。
人口減少
外国人の流入、移住
国内産業の疲弊
AIなどによる労働人口の減少
激しい貧富の差
多民族国家への移行
あるいは戦争による植民地支配
なども起きかねない状況だ。
あらゆる局面で変革が求められ、
経済という社会システムが大きく変貌していくに違いない。
単純に考えると
ホテルは部屋という「装置」を販売し、
その付帯サービス提供により利益をあげる産業である。
その付帯サービスによってどの分野に
特化したホテルなのかが判断できる。
その中でもきわめてシンプルなのは、
宿泊に特化したビジネスホテルという業態だろう。
平成の時代も終了し大きく時代は変化し
いままでのような島国ニッポンではいられなくなる
そうした流れの中で
近未来に起こり得る社会変革に対応していけるだけの
準備をホテル開発にも今のうちから
盛り込みたいところである。
様々な人種の人々が集い、
生活習慣の違う暮らしが始まり、
犯罪が増加し
貧富の差が激しくなる、
街にはホームレスがあふれ、
人口減少でスラム化する街が多くなる、
その一方セレブな人々はますます富み、栄える。
つまり異常にストレスが蓄積される社会に
なるということである。
ホテルの次の収益の柱になるのは「装置そのものの」提供だろう。
「宿泊」ということ前提ではなく
もっと空間の可能性を追求する。
可塑商品としての可能性を追求し、
どんなニーズにも対応出来る「空間」そのものを
提供していく考え方の先に
新しいビジョンがあるのではないだろうか?
ベッドのないただただ何もない
ミニマルなアート空間で佇む、だけ、とか
本を読むだけのための空間とか
お茶を点てるための部屋使いとか
あたかもレストランの個室のように振る舞える空間にとか
可塑商品としての自由性を最大限に発揮し
眠ること以外の様々なニーズに応えることが
近未来のホテルにもとめられることかもしれない。
寝ることじゃない
オフィスでもない
インターネットでもない
喫茶店でもない
ラブホでもない
ギャラリーでもない
なんでもない
真っ白な空間
誰かの要望がそのまま形になるような、空間?
繭から蝶が誕生する瞬間、空間。
激しく先鋭的にホテルが変化していくのも
そう遠い将来ではないのかもしれない。