多様性と多機能、個室性は時代のキーワード。
従来ホテルの業態は宿泊特化型ホテルとシティホテルに大きく別れ、その枝葉の部分にアパートメントホテルやリゾートホテル、そして最近ではライフスタイルホテルなど、地域と密着した業態も出てきたようである。
しかしながら、抜本的なホテルの業態開発はできていないのが現状ではないだろうか。
今後このコロナウイルスなどの常態化の中で、どういった業態がいいのかを考えていかなければならない。
一方、ウエディング市場から参入したトランクホテルはその未来の予兆を感じさせるものだ。
従来のシティホテルのように宴会飲料売上を獲得する戦略なのだが、ユニークなのは宿泊する部屋そのものもイベント、あるいはパーティ空間として利用でき、しかも宿泊までできるというパラダイムシフトに挑戦しているところだ。
ハイブランドが高級ホテルのスイートフロアを1週間ほど貸切し、上得意客のための展示会空間や、パーティー空間へと変身させ、顧客との距離を詰めながら売上を一気にたかめる手法はいままでにも数多くあったが、今後は様々な企業が自社のブランディングを高めるため、ホテル空間を活用していくだろうと思わせる手法であり、新しいホテルイベントの予兆を感じさせる。
また、部屋のあり方も変わっていくと思われる。
宿泊専用の空間からダイニングルームへ、ビジネスミーティングへ、女子会などのパーティーへ、祝い事空間へ(長寿祝い、入学卒業祝い、誕生日など)、いままではレストランを使っていた人々が、より個室性の高い『 寝る場所 』から『 ハレの場 』へと部屋のあり方を変革していくだろう。
それにともない収納式ベッドなど、様々な工夫のある家具が登場してくる事だろう。
今後狙うべきキーワードは『 ハレの日 』需要。
変容するライフスタイル、宿泊利用から +『 バンケット 』利用へ変わっていくのではないか。
様々な宴会、パーティー、イベント、宿泊が一体となった新しいホテル業態をつくる事がニューノーマル時代のトレンドとなるだろう。
多機能型ライフスタイル マトリックス
ホテルの外観から一階ロビーへと続く多機能型ライフスタイルホテルの動画イメージ
宴会場 + パーティー + イベント + 個室ユース + 宿泊など、様々な機能が交錯するホテルこそ、次の時代の商業業態なのではないだろうか。
そしてこの業態にプラスオンされるレジデンス機能、医療モール付きの安心レジデンスなど、様々な発展が望まれよう。
そしていつかこの業態があたりまえになる時代がやってくることだろう。