ミレニアル世代やZ世代が今後消費の中心となり、今までの消費の概念が大きく変わっていくことでしょう。
特に彼らの世代の金銭感覚は『学びや自己実現など役に立つものにはお金をかけるべきと考えるが、そうでないものにはお金をかけない』と徹底しています。
『家』がお金をかけるべきものになるためには『心地よく自分らしさを表現できる』ことが重要となります。
従来のような豪華さや奇を衒ったデザインなど固定概念を捨てて一から考える必要があります。
均一化されたファミリータイプのマンションの購買層は今後減少していきます。なぜなら彼らはそこに自分らしさを表現できないからです。
安定した職業に就き、マイホームとマイカーを所有し、2〜3人の子どもに恵まれるといった、かつて成功を象徴していた生活様式に彼らが興味を示すことはほとんどありません。彼らにとって、それらは「リアル」ではないからです。
リアルな価値を持ち、かつ独自性の強い、ユニークな事柄を志向するのが彼らの世代の特徴と言えるでしょう。
デジタルが当たり前という価値観が根付いている世代
1 . 価値観の押し売りはNGで、多様性を重んじる傾向にある。
2 . モノの価値よりも体験価値を重視。学びや体験、豊かな人生につながることにお金を使うことが普通。
3 . マス的に提供される商品やコンテンツへの興味が薄く自分にパーソナライズされた商品やコンテンツに価値を見出す。
4 . ステレオタイプな贅沢はダサいと感じていて、自分らしくオシャレな贅沢を好み、楽しい非日常体験に価値を感じている。
5 . 地球環境やSDGsやエシカルに対しての興味が高く、自分だけではなく社会のために良いことに対しての興味が高い。
今までとは全く違う消費価値観をもった世代。しかも生まれた時からスマホ、SNSがあり、様々な情報に触れ育ってきた世代。したがってネットの仲間達のクチコミや評価をチェックして商品を購入する傾向にあり、かつ社会問題についても頻繁に仲間達と意見交換をするような世代です。
彼らにとってお金をかけるべきマンションとなるには、まずそのマンションが提供するコト体験が素晴らしいものであること
ーー設備、セキュリティ全てのIoT化はもちろん、環境問題や脱炭素化にどれだけ取り組んでいるのかも重要なテーマです。
そして彼らには様々な生活スタイルがあり、自分らしさを表現できるデザインや『空間価値=それぞれの目指す暮らし』を提供していかなくてはなりません。
ピアノを弾く隣の部屋で瞑想する人がいるかもしれない、さらには部屋の倍もあるベランダで花を愛する暮らしをする人もいる。何万冊もの蔵書を収納する図書館の家やカフェの中で暮らしたい人もいるでしょう。
そんな彼らに私たちは『音楽と暮らす森』をテーマにした集合住宅計画を提案しました。
それは音楽を愛する人々が暮らし、森のような場所を作ろうという企画。
森の中のあたかもツリーハウスのように伸びるベランダ、開放と閉鎖、防音による音楽性(演奏・鑑賞)の確保、さらに音楽を中心とする趣味で繋がるネットコミュニティで、住民・地域とつながり、地域とつながることによって地域全体としてのセキュリティコミュニティも機能させていく。
そして、できる限りの自然エネルギーの採用や、集合住宅内でのゴミ処理や排水の浄化システムなども採用していく。
上水と井水なども活用しながら節水や冷房利用などの環境対策も考えていくなど、様々な可能性を追求していく。それを全てスマホによって可視化する。
この計画によって分譲価格が高くなったとしても、彼らはそこにこそ『お金をかけるべき』と思い『このコト体験こそが心地よく自分らしさを表現できる』でしょう。
という実験的試みが今後多くなっていくだろうと思っています。